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Brain Builder for AITRIOSのご紹介 ― Vision AIをもっと手軽に

2024/11/27
Brain Builder for AITRIOSのご紹介 ― Vision AIをもっと手軽に

想定読了時間:6分

エッジで強力なAIアプリケーションの開発を始めたい方に向けて、Brain Builder for AITRIOS をご紹介します!品質管理や在庫管理、リアルタイムでのスマートな監視が求められるあらゆる現場で、カスタムVision AIモデルの作成が誰にでも手軽に行えるようになります。Brain Builder for AITRIOSなら、AIモデルの構築・学習・デプロイを自分で行い、Raspberry Pi AIカメラのようなプラットフォーム上で直接実行することができます。

この記事では、Brain Builder for AITRIOSを使って、カスタムVision AIモデルを素早く学習・評価・デプロイする方法をご紹介します。初めてお使いになる方は、導入の準備が整っているかを確認するために、Getting Startedガイドもあわせてご覧ください。

前提条件

本格的に始める前に、以下の基本環境が整っていることを確認してください:

  • CodeMeterライセンス:
    Brain Builder for AITRIOSの各機能を利用するには、有効なCodeMeterライセンスが必要です。
  • Brain Builder for AITRIOSアプリケーション:
     専用アプリケーションをダウンロードし、インストールしてください。

  • 対応PC:
     Brain Builder for AITRIOSを快適に動作させるためには、以下の最小動作環境を満たすPCが必要です(推奨スペックあり):

 - CPU: Intel i7(2GHz以上)
 - GPU: 最低:NVIDIA GTX 10シリーズ(8GB以上のVRAM)
       推奨:NVIDIA RTX 20/30/40シリーズ(10GB以上のVRAM)
 - メモリ: 最低16GB、推奨32GB以上
 - OS: Windows 10 / 11 または Ubuntu 20.04 / 22.04

(オプション)Raspberry Pi AIカメラ:学習済みのモデルをエッジ上で直接実行するために、Raspberry Pi AIカメラを使用することができます。常時インターネット接続を必要としないリアルタイム処理系のアプリケーションに最適です。

Brain Builderで利用できる各種AIモデルタイプ

分類モデル(Classifier)

  • 目的:
     画像全体または特定の領域を、あらかじめ定義されたクラスに分類します。

  • 出力例:
     信頼度の高い順にラベルを出力します(例:「Apple:80%、Peach:40%」)。

  • 主なユースケース:
     - 商品画像をカテゴリごとに自動分類(例:りんご、みかん、バナナなど)
     - X線画像を「正常」「異常」に分類

  • 特徴:
    画像全体を対象とするため、個別の物体の位置は特定しません
    特定の分類タスクにおいては、高速かつ高精度な処理が可能です。

検出モデル(Detector)

  • 目的:
     画像内の複数の物体を検出し、それぞれの**位置とクラス(ラベル)**を特定します。

  • 出力例:
     検出された物体ごとに、バウンディングボックス(位置座標)とラベル、信頼度スコアを返します。
     例:「Car:90%(x, y)」のように、何がどこにあるかを明示します。

  • 主なユースケース:
     - 街中の映像から車両や歩行者を検出
     - コンベア上のアイテムをカウント(例:「りんご3個、みかん2個」)

  • 特徴:
     「何が、どこにあるか」を同時に認識できます。 

異常検知モデル(Anomaly Recognizer)

  • 目的:
     画像が「正常」か「異常」かを判定します。高度なモデルでは、異常が発生している領域を視覚的にハイライトすることも可能です。

  • 出力例:
     - シンプルなモデル: 「正常」または「異常」といった2値分類のラベル
     - 高度なモデル: 異常領域を示すヒートマップやスコア付き可視化

  • 主なユースケース:
     - 製造部品の外観検査(傷・汚れ・変形などの検出)
     - 医療用スキャンや品質管理画像における異常の検出

  • 特徴:
     逸脱や問題を検出することに特化しており、視覚的なフィードバックを伴うことが多い。

モデルタイプ主なタスク出力内容最適な用途
分類モデル(Classifier)カテゴリ分類信頼度順のラベル一覧一般的なカテゴリの判定
検出モデル(Detector)
物体の検出と位置特定複数ラベル+位置情報物体の検出・カウント
異常検知モデル(Anomaly Recognizer)異常の検出と可視化2値ラベル+ヒートマップ欠陥や異常の検出
モデルタイプ主なタスク出力適した用途
分類モデル(Classifier)カテゴリの分類信頼度順のラベル画像全体のカテゴリ判定
検出モデル(Detector)物体の検出と位置特定複数ラベル+位置情報物体の検出・カウント
異常検知モデル(Anomaly Recognizer)異常の検出と可視化2値ラベル+ヒートマップ(オプション)欠陥や異常の検出

各モデルタイプにおいて、Brain Builder for AITRIOS では作成した「Brain」をさらに改善するための設定項目も利用できます。主な設定は以下の通りです:

モデルタイプ処理時間誤検出(False Positive)の発生検出可能な欠陥サイズ
分類モデル(Classifier)XX 
検出モデル(Detector)XX 
異常検知モデル(Anomaly Recognizer)X X

分類モデル(Classifier)、検出モデル(Detector)、異常検知モデル(Anomaly Recognizer)では、ビルドプロセスの所要時間(Duration)を変更することが可能です。以下では、Durationオプションについて詳しくご紹介します。

オプションテスト範囲処理時間想定ユースケース
Quickアップロードされた画像の一部のみ高速迅速なプロトタイピング、素早いフィードバック
Balancedアップロード済み画像の大部分中程度バランス重視のアプローチ、信頼性と処理時間の両立
Thoroughアップロードされたすべての画像最長最高精度が求められる用途、精密な結果が必要な重要案件

分類モデル(Classifier)と検出モデル(Detector)では、ビルドしたモデルのパフォーマンスを調整することができます。以下では、Performanceオプションについて詳しく説明します。

パフォーマンスオプション重視するポイント推奨される用途
Highest Average Accuracy
精度と誤検出のバランスを重視汎用的な用途でバランスの取れた性能が求められる場合
Highest Accuracy検出基準を緩めて正検出数を最大化可能な限り多くの正しい検出を捉えたい場合
Lowest Occurrence Rate of False Positives検出基準を厳しくして誤検出を抑制誤検出を最小限に抑えることが重要なアプリケーション

異常検知モデル(Anomaly Recognizer)では、検出対象となる欠陥のサイズ(Defect Size)を調整することができます。以下では、Defect Sizeオプションについて詳しくご紹介します。

欠陥サイズオプション重視するポイント推奨される用途
Optimize for Datasetデータセットに基づいて最適なサイズを自動選択欠陥サイズがさまざまな一般的なユースケース
Regular小さな欠陥を対象に、精密な検出を実現微細な欠陥が重要となるアプリケーション
Coarse大きな欠陥にフォーカスし、処理速度を優先大きな欠陥の検出を重視するシナリオ

実際の活用例

Brain Builder for AITRIOS を使えば、可能性は無限大です。たとえば、こんな活用が考えられます:

  • 品質管理:
     生産ライン上で製品の欠陥を検出し、精度を保ちながらもラインのスピードを落とさずに品質を保証します。

  • 環境モニタリング:
     Brain Builder for AITRIOS を活用して、野生動物の行動観察や農作物の健康状態を遠隔地から監視できます。

  • 在庫・物体トラッキング:
     倉庫内のアイテムをリアルタイムで追跡し、在庫状況を常に正確に保つことが可能です。

さあ、開発を始めましょう!

業界の専門家でも、これから始める初心者でも、Brain Builder for AITRIOS があなたをサポートします。 サンプルアプリやチュートリアル、そしてAIのアイデアを形にするためのヒントが満載です。 今日からカスタムVision AIモデルの構築を始めて、あなたの創造力をかたちにしましょう!

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